健康診断で指摘の「多血症」とは?見逃せない初期症状と危険なリスク
職場の健康診断や人間ドックの血液検査で、「赤血球数」「ヘモグロビン(血色素量)」「ヘマトクリット」の数値が高く、要再検査の判定に戸惑う方が少なくありません。「貧血の逆だから血行が良くて健康なのでは」と軽く考えて放置してしまうケースも見受けられますが、血液中の赤血球が過剰に増える「多血症(赤血球増多症)」は、決して見過ごしてはならない身体のサインです。
血液が濃くなり粘り気が増すと、血管が詰まりやすくなり、命に関わる重篤な病気を招く恐れがあります。本稿では、多血症の基準値や具体的な原因、見逃しやすい初期症状から、受診すべき診療科や治療・生活改善法までを徹底して解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:多血症は血液中の赤血球が異常に増加する病態で、放置すると脳梗塞や心筋梗塞といった血栓症のリスクが跳ね上がる。
- 要点2:脱水やストレスによる一時的なものから、喫煙・睡眠時無呼吸症候群、骨髄異常(真性多血症)まで原因は多岐にわたる。
- 要点3:血液検査で数値の異常を指摘された場合は軽視せず、速やかに内科や血液内科を受診して適切な確定診断を受ける必要がある。
【基準値と数値の見方】多血症とはどんな状態?赤血球増多のサイン
多血症は医学的に「赤血球増多症」とも呼ばれ、循環血液中の赤血球の量や割合が基準値を大幅に超えて増えた状態を指します。健康診断の検査票では、主に以下の項目で判定されます。
一般的な診断の目安となる赤血球増多症基準値は、ヘモグロビン(Hb)数値またはヘマトクリット(Ht:血液中に占める赤血球の容積割合)で評価されます。学会などの診断基準では、多血症ヘモグロビン数値として男性で16.5g/dL超(ヘマトクリット49%超)、女性で16.0g/dL超(ヘマトクリット48%超)が一つのボーダーラインです。
血液は液体成分である「血漿」と細胞成分である「赤血球・白血球・血小板」で構成されています。赤血球が過剰になると、サラサラと流れていた血液がドロドロとした高粘稠度(こうねんちょうど)状態に陥り、全身の細い血管に大きな負担をかけることになります。
【多血症の主な原因】ストレス性から喫煙・骨髄異常まで3つの分類
血液検査で数値が跳ね上がる多血症原因は、メカニズムによって大きく3つのタイプに分類されます。原因を正確に突き止めることが、適切な対処への第一歩です。
1つ目は、赤血球の絶対数は増えていないものの、血漿(水分)が減ることで見かけ上の濃度が高くなる「相対的多血症」です。激しい発汗や下痢による脱水のほか、過度な緊張や過労、アルコール摂取などが引き金となるストレス性多血症(ガイスベック症候群)が代表例です。働き盛りの肥満傾向がある男性に多く見られます。
2つ目は、酸素不足などを感知して赤血球を増やすホルモン(エリスロポエチン)が過剰に分泌される「二次性多血症(続発性多血症)」です。二次性多血症原因の代表格は、ヘビースモーカーにみられる慢性的な一酸化炭素中毒、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、高地居住、あるいは腎臓などの腫瘍性疾患が挙げられます。
3つ目は、造血幹細胞の遺伝子(JAK2遺伝子など)の変異によって、骨髄で赤血球が無制限に作られ続けてしまう「真性多血症(真性赤血球増多症)」です。こちらは骨髄増殖性腫瘍という血液の病気に分類され、専門的な管理が必須となります。
【見逃せない初期症状】多血症セルフチェックと身体が発する警告
多血症は初期段階では自覚症状が乏しく、健診結果を見るまで気づかないケースが多々あります。しかし、血液の粘稠度が高まるにつれて、日常生活の中で以下のような兆候が現れ始めます。気になる症状がないか、多血症症状チェックを行ってみましょう。
【主な初期自覚症状一覧】
・顔や手のひらが赤ら顔になる(特に頬や耳たぶの紅潮)
・慢性的な頭痛、頭重感、立ちくらみ、めまい、耳鳴り
・入浴後や温かいシャワーを浴びた後に生じる、皮膚の激しいかゆみ(温水性掻痒症)
・手足の先が赤く腫れてピリピリと痛む(肢端紅痛症)
・日常的な倦怠感、息切れ、目の充血やかすみ
特に「お風呂上がりに原因不明の強いかゆみが出る」「以前より顔の赤みが強くなった」という訴えは、多血症特有のサインとして重要視されます。
【放置する危険性】ドロドロ血液が引き起こす血栓症リスクの全貌
自覚症状が軽いからと多血症放置危険性を軽視するのは極めて危険です。赤血球が密集してドロドロになった血液は、血管内で固まりやすく、血栓(血の塊)を形成します。
最も警戒すべきは多血症血栓症リスクです。血栓が脳の太い血管を塞げば「脳梗塞」、心臓の冠動脈を塞げば「心筋梗塞」という、生命に関わる急性疾患を突然引き起こします。さらに、下肢の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」や、それが肺に飛ぶ「肺塞栓症(エコノミークラス症候群)」の引き金にもなります。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を併せ持っている場合は血管内皮の損傷が進んでいるため、血栓症の発生リスクはさらに跳ね上がります。
【治療法と予後】瀉血治療の基本と真性多血症の寿命・コントロール
多血症の診断を受けた場合、原因に応じた治療計画が速やかに立てられます。脱水なら水分補給、睡眠時無呼吸ならCPAP治療、喫煙なら禁煙といった根本原因の除去が最優先です。
一方、真性多血症や数値が極めて高い状態では、積極的な医療介入が行われます。治療の第一選択となるのが多血症治療瀉血(しゃけつ)です。定期的に200〜400mL程度の血液を人工的に抜き取ることで、ヘマトクリット値を目標値(通常45%未満)まで下げ、血液をサラサラに保ちます。併せて血栓予防のための低用量アスピリン投与や、細胞の増殖を抑える抗腫瘍薬(ハイドロキシウレアなど)による薬物療法が組み合わされます。
骨髄の異常と聞くと生存期間が不安視されがちですが、真性多血症寿命に関する研究では、血栓症のコントロールを徹底して適切に管理を継続すれば、一般の同年代と大きく変わらない生活の質を長期にわたって維持できることが実証されています。
【受診先と生活習慣】何科を受診すべき?食事改善と日常の注意点
健診で数値の異常を指摘された場合、多血症何科を受診すればよいのか迷うところです。まずはかかりつけの「一般内科」に相談するか、より精密な検査を希望する場合は血液疾患を専門とする「血液内科」の受診が推奨されます。
日常生活で取り組むべきセルフケアとしては、こまめな水分補給が基本です。特に就寝前や起床時、運動前後、入浴前後は血液が濃縮しやすいため、意識的にコップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。
日々の多血症食事改善では、血液を健康に保つバランスの良いメニューが役立ちます。EPA・DHAを豊富に含む青魚、抗酸化作用のある緑黄色野菜や海藻類を積極的に取り入れ、高塩分・高脂質の食事や暴飲暴食は控えましょう。アルコールの過度な摂取は利尿作用により脱水を招くため、適量を守ることが大切です。
【多血症】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「血が多い」のは貧血の逆で、健康でスタミナがある証拠ではないのですか?
A1:誤解されがちですが、赤血球は多すぎても少なすぎても身体に害を及ぼします。赤血球が過剰になると血液がドロドロになり、血管が詰まって脳梗塞などの重大な病気を引き起こすため、決して健康な状態ではありません。
Q2:献血をすれば瀉血治療の代わりになりますか?
A2:献血を治療の代わりにすることはできません。多血症の疑いがある方や治療中の方は、日本赤十字社の基準により献血が制限されています。必ず医療機関で適切な検査と管理下での瀉血治療を受けてください。
Q3:ストレスが原因で多血症になるのは本当ですか?
A3:事実です。「ストレス性多血症」と呼ばれ、強い精神的ストレスや過労、喫煙、肥満などが重なることで自律神経が乱れ、血管収縮や血漿量の減少が起きて赤血球の濃度が高くなります。生活習慣の見直しで改善するケースが多く見られます。
まとめ:血液の異変を放置せず早期の検査と適切な管理を
多血症は、自覚症状が少ないまま水面下で進行し、血管事故という取り返しのつかない事態を招くリスクを孕んでいます。原因が一時的なストレスや脱水によるものなのか、それとも専門的な治療を要する二次性多血症や真性多血症なのかを正確に判別することが不可欠です。
健康診断で赤血球やヘモグロビンの数値を指摘されたら、「たかが血液の濃さ」と自己判断で放置せず、速やかに内科や血液内科を受診して原因を特定し、身体を守る対策を始めましょう。 (出典: 多 血 症 と は(Yahoo!ニュース))